初めまして。
この度ご縁がありValueWorks様のブログに寄稿させて頂くことになりました、方城素和と申します。
私は現在京都大学女子バスケットボール部でヘッドコーチを務めております。
この記事に目を通してくださり誠にありがとうございます。
私が主に指導対象としているのはスポーツ推薦ではなく一般入試で入学してバスケットボールが好きでチームに加入してくれた選手たちです。バスケットボールの経験には大きな差がありますが、皆上達したいという気持ちで日々練習に取り組んでいます。
その指導経験を基にこのブログでは今後主に高校生や大学生といった少し高い年代に指導されているコーチの方々を中心に、
育成に重きをおいた練習方法などを経験を通じて伝えさせていただければと思います。
今回は私がコーチとして目指すValueについてこれまでの経験を振り返りつつ紹介させて頂きたいと思います。
7、8分程度お付き合いいただければと思います。
私の目指すValueは
「一生懸命な選手が成長できる環境を創ることのできるコーチ」
です。このようなValueを目指した理由は選手時代にあります。
選手時代を振り返って
私は中学校でバスケ部に入りそこから大学まで選手をしました。
中学は一回戦負けばかり、高校は県大会にいけないチームで試合にも出れたり出れなかったり、大学はベンチに入れたのが最終戦だけ、と全く結果を残すことができませんでした。
自分なりに一生懸命努力しましたが、どうすれば上達することができるのか全くわからないままにただ頑張っていただけでした。
今考えればわかるのですが、当時の私はどうしたらシュートが打てるのかを考えず、ただひたすらシューティングに明け暮れるような選手でした。
その時に自分は選手には向いていないと思い、高校生の頃から将来はコーチになりたいと漠然と感じていました。
そういった思いが伝わったのか大学4年生で引退する時に運良く学生スタッフとして残していただき、コーチとしてのキャリアがスタートしました。
コーチの勉強をする中での出会い
コーチとして学び実践することは私にとってとても楽しく、そして素晴らしい出会いに満ちていました。
出会いを通して私の価値観は創られましたが、ここでは大事にしているValueについて3つほど紹介させて頂こうと思います。
合理的であるということ
これは特にシアトルでのコーチ研修会に参加したことが大きかったと思います。
NCAAでは練習時間やリクルートの人数等を制限することで各チームの環境を揃える努力をしていることや、
限られた時間の中でコーチが努力していることなどを知りました。
だからこそ1つ1つ無駄のない練習をしよう、選手にとって魅力的なチームを創ろう、
とコーチも成長していけるのだと。
日本ではそのような制限がありませんが私はこのような考え方にとても魅力を感じています。
否定しないこと
私が選手の時に関西学連の3部以下の講習会があり参加しました。
私を含め6人の選手がいましたが他の選手は皆私たちより上位のチームで試合に出ている選手で、とても劣等感を持ちました。
その結果練習でも足を引っ張ってしまいました。
そんな私にもその時のコーチは良い点を見つけて声をかけてくれるなど私を認めてくださりとても嬉しかった事を今でも覚えています。
その時にこんなコーチになってこんな練習をしたいと思いました。
またコーチを始めてすぐ関西学連のキャンプがあり見学に行った時には懇親会に連れて行って頂いたのですが、
何の実績もない自分にプロでの経験もあるコーチの方々が「選手の実績なんて関係ないよ。努力すればきっといいコーチになれるよ。」
と言ってずっと自分に熱くいろいろなことを教えてくれました。
その時に少しだけ自分の存在を認めてもらえたような気がします。
そういった経験があるからこそ私もコーチとして選手や他のコーチの否定をせず、良いところやその人の価値を認めていけるようになりたいと考えています。
最も重要だと感じているValueは情熱を持つこと
私が最も憧れており人生のロールモデルとさせてもらっているコーチからそのことを学びました。
その方は現在はプロの舞台で活躍されていますが、私が出会った当時は大学でボランティアでコーチをされていました。
その当時一度練習に参加させて頂いた時には細かく考えられたメニューも素晴らしかったですが、
何よりも選手1人1人そして飛び入りの私にも丁寧に指導されていたことを覚えています。
ボランティアにも関わらず常に向上心を持って取り組まれる姿に憧れを感じていました。
この方に恥じないようなコーチになりたい!といつも私の向上心を掻き立ててくださるコーチです。
今回は3つ紹介させて頂きましたが、他にもたくさんの素晴らしいコーチから学ぶことで少しずつ成長することができていると感じています。
また出会いが出会いを呼び、今回このような機会を頂けたことも嬉しく思います。
最後に
今後は不定期ですが主に1つ目に挙げた合理的な練習について私なりの考えを紹介させて頂こうと考えています。
数学の教員とスポーツ科学の研究というユニークな経験を生かした私なりの Valueを皆様に提供させて頂き、少しでもお役に立てれば幸いです。
私の考えを発信させていただくことは初めての機会ですので、私自身とても楽しみでありここからより成長していきたいと思っています。批判的な意見も含めまして、お気軽にレスポンス頂けると嬉しいです。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。これから宜しくお願い致します。
文:方城 素和
編集・校閲:赤津誠一郎
編集後記
新しくバリューワークスに記事を寄稿してくださるコーチが増えました。
方城さんは、西へ東へ良い指導者のクリニックがあれば時間も費用も惜しまずに飛んでいき、
海外にまでも自己成長に向かう素晴らしい指導者です。
先日のバスケットボール学会でも理論的にバスケットボールを分析してくださり、
「是非、方城さんにご自身の経験を伝えていただきたい」
と想いが込み上げ、オファーすることになりました。
一人でも多くのコーチに、方城さんのコーチとしての経験をお伝えすることが出来たら幸いです。
実際に私が京都大学女子バスケットボール部の練習へお邪魔したときは、
本当に選手全員が活き活きと意見を交換し、礼儀正しくハツラツとした、
私が描いていた「京大生」のイメージとはかけ離れた選手たちの姿がそこにありました。
そんな素晴らしい選手を指導する方城さんのコラムを、是非楽しみにしていてくださいね。
引き続きバリューワークスを何卒よろしくお願い致します。
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