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リバウンドドリル構築(1)【大学HCの育成コラムVol.2】

2019.3.22

こんにちは。京都大学女子バスケットボール部の方城素和です。

 

今回も記事に興味を持っていただきありがとうございます。

 

今回は5分程度でリバウンドについて書かせていただきます。

 

リバウンドの重要性

初めての記事のテーマとしていくつかの候補を考えましたが、リバウンドを取り上げることにしました。

 

理由は私が強くこだわりを持っているテーマであり、試合の結果に強く影響を与えると考えられる要素の1つであるからです。

 

「リバウンドを制すものは試合を制す。」

 

漫画「SLAM DUNK」の中で赤木剛憲選手が発する言葉ですね。

 

皆さんリバウンドが重要であることは重々承知だと思いますが、「なぜ」重要なのか少しだけ改めて考察してみたいと思います。

 

上の図はざっくりとしたバスケットボールにけるオフェンスの流れを示したものです。各要素が起きる割合はカテゴリー・レベルによって異なると思いますが、皆さんのチームではどの要素を増やしてどの要素を減らしたいと考えていますか?

 

まずオフェンス開始について考えてみます。

 

当然ですがどのチームも「シュートを決められる」機会はできる限り減らしたいと考えます。

 

それでは残りの2つのうちどちらをより多く目指すかは明確でしょうか?

 

「相手のターンオーバーを誘発する」

 

ことは自分たちのオフェンスを優位に進めることのできる機会であると考えられます。ではこの機会を増やすためにはどういった要素が必要でしょうか?

 

まず考えられるのはプレッシャーを相手にかけるためのフットワークやスピードやそれを続けるための体力でしょうか。

 

これらを養うためにはある程度の練習時間をかけることや選手の個人能力が充実していることが必要となると考えられます。

 

しかしチームによってはそれらの条件を満たすことが難しく、

 

「ディフェンスリバウンドを取る」

 

という選択肢の割合が増えざるをえないことも多く存在すると考えられます。

 

 

同様に「シュートを打った後の選択肢」についても考察をしていきます。

 

当然最良の選択肢は「シュートを決める」になります。しかしながらシュート力の低いチームにとってはいくらオープンなシュート(たとえゴール付近のシュートでさえも)であってもシュートが成功しない可能性は高くなります。

 

そうすると得点を取るためには試投数を増やす必要があり、そのためには

 

「オフェンスリバウンドを増やす」

 

必要がある、と考えることができます。

 

 

このように考えると、身体能力が低かったり練習場所や時間に制限があるチームほどリバウンドの重要さが増すと言えるかもしれません。

 

リバウンドの練習を行う上で頭に入れておきたいこと

ここではディフェンスリバウンドの練習について考えていきたいと思います。

 

ディフェンスリバウンドの練習というと2人でサークルを使ってサークルに入れないようにする

 

「サークルボックスアウトドリル」

 

や2人組でボールをバックボードにぶつけて、コンタクトしてからリバウンドを取るドリルなどが一般的で基本的なドリルになるかもしれません。

 

これらのドリルは主にコンタクトできた状態やシューターのようにコンタクトする相手が近くにいる状態を想定したドリルになります。

 

しかしながらゲームでボックスアウトするときに起こる問題はコンタクトの強さやシューターボックスアウトだけではありませんよね。

 

当然のことですが、試合中にはヘルプサイド、インサイドをディナイしている、アウトサイドをディナイしている、トラップを仕掛けた、等数多くの状況が考えられます。

 

中でもヘルプサイドでのボックスアウトはディフェンスが機能している場合によく発生する状況だと考えられます。またシューターに対するボックスアウトと異なり一度に複数の選手に対して発生する状況でもあります。

 

なかでも私はヘルプサイドのボックスアウトの練習を重要視しています。

 

ヘルプサイドのボックスアウトを切り出して練習するべき理由

そんなことはディフェンス練習の中で強調すればいいのではないか?という考えもあると思いますが、私は切り出して練習することも重要であると考えています。

 

その理由は主に次の2点があります。

 

・シューターに対するボックスアウトと違って距離を詰めてからコンタクトしなければならない

 

・相手を見るためにはボールから目を切らなければならない

距離があることで相手にかわす動きをするスペースを与えてしまってかわされたり、ボールから目を切っている間にボールが落ちてきて上から取られる、といった状況を解消するにはどうすれば良いかということは非常に難しい問題であると考えています。

 

ボックスアウトについては言語化しにくいコツが多くあると考えられます。

 

それを選手は無意識下で、しかも多くの要素が詰まっている練習の中で獲得できるでしょうか?

 

私は全ての選手にそれは不可能であると考えています。

 

ですので、まずはヘルプサイドのボックスアウトの部分については特に切り出して練習していく必要があると考えています。

 

最後に

今回はリバウンドを練習する意義について書かせて頂きました。

 

書いていると本当に多くの要素が存在し、私自身言語化できなかったりまとめきれていない部分が大半であると改めて認識させられました。

 

そこで、この連載では最初のメインテーマとしてリバウンドを取り上げようと思います。

 

次回はヘルプサイドのボックスアウトを練習するにあたって実際の状況や選手の習得の過程をどのように想定するべきか、もう少し詳しく考えていきたいと思います。

 

今回も最後までお付き合い下さりありがとうございました。

 

私自身もより深く考えていきたいテーマでありますので、ご意見等積極的に頂けると大変嬉しいです。今後ともよろしくお願い致します。

 

文: 方城 素和

編集・校閲: 赤津 誠一郎

 

編集後記

私は土浦日大でリバウンドの感覚を学んでいきました。

 

何気ないアップメニューでしたが、指導者になった今思うと、1つ1つがよく考えられ、効率よく選手の感覚を磨いていくメニューでした。

 

やはりスクリーンアウトをしっかりと行えるチームは安定感がありますし、

 

ガードとしてもビッグマンからボールを奪うガードの職人技にはやはり目を奪われます。

 

一見簡単そうに見えるリバウンドですが、

 

ボールの行方、リングの位置(自分の立ち位置)、オフェンスを捉える、動きを防ぐ、ボールを取る、安全性を確認する

 

など書けば書くほど要素がいくらでも出てくるほど、通常のオフェンスやディフェンスに比べてとても難しいスキルです。

 

そんな複雑なスキルを方城コーチから学べるなんて、私も皆さま同様に続きが待ち遠しくて堪りません。

 

赤津



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