こんにちは!バリューワークスSDの後藤です。
前回は「戦略・戦術」を決定するために必要な要素をお伝えしていきました。
今回は、実際にバスケットボールの「戦略」を立てる上で
皆様のお役に立てる考え方をお伝えしていきたいと思います。
原理・原則
世の中には原理・原則という言葉が存在するように、
バスケットボールにも原理原則が存在します。
原理原則というのは、基本的な決まり・規則という意味で一部の例外を除き絶対的で普遍的な存在です。
私は原理原則を知らなければ、正しい戦略・戦術を立てることは出来ないと考えています。
バスケットボールの「原則的プレー」
皆さんは、バスケットボールに「原則的プレー」が定義されている事をご存知でしょうか?
原則を学ぶには「先人の知恵」をお借りする事が一番ですので、東京オリンピック監督、吉井四郎先生の書籍である
「バスケットボール指導全書」
より原則をご紹介します。
原則的プレーは、攻撃と守備に分かれます。
攻撃側の原則的プレー
① シュートを打つ
② 破る
③ ボールの所有
出典:吉井四郎(1986) バスケットボール指導全書1 コーチングの理論と実際
守備側の原則的プレー
① シュートを防ぐ
② 破ることに対して、準備・対応する
③ ①と②をしつつ、ボールの奪回を狙う
出典:吉井四郎(1986) バスケットボール指導全書1 コーチングの理論と実際
一見、「当たり前では?」と思うかもしれませんが、
チーム戦術を組み立てる上で非常に重要な定義です。
プレーの判断や評価を行う際の原則の重要性
私はを指導する際に次の2点に難しさを感じていました。
⑴プレーの判断・評価の基準の浸透
⑵判断・評価に論理的一貫性を持たせること
1つ例を挙げてみたいと思います。
ドリブルやシュートなどの技術は非常に上手な選手が居たとします。
しかし、試合では思ったようなパフォーマンスは発揮できません。
チームメイトも技術はうまいその選手に何も意見を言うことが出来ません。
コーチが指摘する内容も、毎回違ったものになり、その選手の行動変容を促すことが出来ません。
それは一体なぜでしょうか?
理由としては、主に2つ挙げられます。
認知・判断
1つは、認知・判断力の欠如です。
バスケットボールや常にスペース・相手・時間・ゴール等を認知し、判断して、実行するスポーツです。
パフォーマンスが発揮出来ない選手はまず、この認知という作業ができない場合が多いです。
認知の欠如により、生き物のように目まぐるしく状態が変わる試合においては、
正しいプレイを選択することが出来ません。
方向性の不浸透
2つ目は、判断のための方向性の欠如です。
何を元に判断をすべきかの方向性をチームで定義することは非常に重要です。
定義されていない場合、選手は好き勝手に自分の判断でプレイを決めてしまい、
5人で連携しチームの勝利を目指すバスケットボールの素晴らしさを体現することは出来ません。
3ポイントがかっこいいから入らないスリーポイントばかりを打つ選手
クリニックでならったかっこいいスキルばかり披露したがる選手
チームに判断のための方向性がかけている場合、そのような不協和音が発生します。
吉井先生が提唱する「原則的プレー」をフレームワークにする
そこで、私が提唱したいのは「原則的プレー」をフレームワークにしたチーム原則の定義です。
チーム原則をチームが目指すべきバスケットボールの方向性とすることです。
まずは先ほどご紹介致しました「原則的プレー」をチームになじみやすい言葉に変えてみましょう。
オフェンスの場合は
① シュートを打つ → シュート
② 破る → ドライブ
③ ボールの所有 → パス・ボールキープ
これをベースにチームの狙いを加えると、判断の基準が出来てきます。
① シュート → ゴール下でのシュート
② ドライブ → スロットへのドライブ
③ ボールキープ → ボールマンに近づかない・すぐにドリブルしない・リアクションする
このように吉井先生の「原則的プレー」をフレームワークに、チーム原則を定義すれば、
選手がが行うべき判断が明確となり実行への速さへと繋がります。
また、ミスをしても「良い判断」としてチームの士気を高めます。
この3つを見れば、
「スペーシングが重要で、ドライブからの展開が大切だ。」
とはっきりわかるはずです。
こうすることで
⑴プレーの判断・評価の全体での基準がチームに浸透し
⑵判断・評価に論理的一貫性を持たせること
ができるでしょう。
選手自身もプレーをこの原則と照らしわせることでプレーに対しての評価を自分自身で行うことができるのです。
これにより、その選手には
学習のサイクルが形成される
ことになり、チームを卒業しても継続的に活躍する選手としてバスケ人生を歩んでくれるのだと思います。
原則がもたらす「プレーの文脈化」
原則を体現する素晴らしい選手は、自身が行ったプレーを文章で具体的に説明できるようになります。
これを私は
「プレーの文脈化」
と呼んでいます。(コンテキスト化とも呼びます)
「プレーの文脈化」については、
5W1Hが存在すること
目的が原則から外れていないこと
が優秀な文脈を作れている評価基準となります。
そしてこの基準を満たす選手は、自然と自分のプレーについて意図や目的を持つようになります。
さらに、この「文脈化」によりまた新しい原則が生まれるといった相互作用も発生することで、
チームと選手という関係がお互いになくてはならないものへと変わっていくのです。
指導者は、この「プレーの文脈化」が選手に根付くように日頃のトレーニングにも
「原則」
そして
「文脈」
を作るべきであり、それが選手にとって一番の成長を促すことだと私は考えています。
原則と文脈が「戦略」を定義する
ここまでご一読頂き、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、
チームの方向性こそ
「チーム戦略」
となります。
つまり、原則と文脈を明確にすることで、「チーム戦略」が定義されることになります。
戦略が明確になれば、そこから戦術を選択することが出来ます。
以上が、バスケットボールの戦略を定義する「原理・原則」と「プレーの文脈化」についての私の見解になります。
ぜひ、チーム戦略・戦術を立てる上での参考になればと思います。
今回は少し難しい内容でしたが、また次回も楽しみにしていただけると幸いです。
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以上が、私の執筆意欲を掻き立てる原則的行動でした。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
編集後記
こんにちは。バリューワークスの赤津です。
後藤コーチに執筆頂き、編集・校閲という新たな立場でこのブログに関わっていますが、
共同で作業を進める中で今まで見えなかったことが見えるようになる感覚に包まれています。
今回の記事を編集する中で私が気づいたことを記載致します。
- 原則・戦略とは概念であり
概念を具現化していくことが戦術であり
戦術の中で体現化していくことが技術(スキル)である
卵が先かにわとりが先かの議論はもちろんありますが、
原理・原則を明確にすれば、戦術もスキルも取捨選択を行い、理想的なバスケットボールに辿り着くことができるでしょう。
逆に言えば、戦略に根付かないスキルを指導しても、チームの役には立てません。
各年代に必要な指導戦略を立て、
そこからそれない指導がスクールには必要となってきます。
今後も後藤コーチとの共同作業が楽しみで仕方がありません。
皆様により良い知見をお届けできるよう、今後も励んでまいりたいと思います。(赤津)
文:後藤祥太
編集・校閲:赤津 誠一郎
コーチのために頑張って執筆してます↓↓
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