こんにちは。
バリューワークスSDの後藤です。
前回までオフェンスの原理原則に触れ、オフェンスはルールの変化によりその姿を変えてきた事をお伝えしました。
そして、当然ですが、オフェンス発展に合わせてディフェンス戦術の発展が促され、その逆もまた然りです。
今回はオフェンスを解説する上で欠かせない守備、ディフェンスについての原則を解説していきます。
原理から考える守備の原則:守備の集中
オフェンスにとって重要な事は、いかに有利なスペースを攻略・支配できるか、そのために3つの優位性を獲得すべきだとお伝えしてきました。
では、ディフェンスにとって一体なにが重要でしょうか。
それは、オフェンスにとっては真逆のことだと考えれば簡単ですね。
それは、自チームにとって不利なスペースを攻略・支配させないこととなります。
バスケットボールが誕生した頃は、ゴール下近辺のスペースを取り合う事が優劣を決め、ペイントエリアという制限区域が出来た事がそのエリアが如何に重要なスペースであるかを証明しています。
さらに、3ポイントシュートの登場によりそのスペースは帯状に広がっていきます。
特に3Pライン沿いは3Pを打たせないために強度の高いプレッシャーをかけなければならないようになりました。
ゴール下だけが有利なスペースではなく、その6.75m先にもゴール下と同等のオフェンスに有利なスペースが誕生したのです。
ペイントエリアがディフェンスに有利なルール(一概にそうは言えませんが)だとしたら、スリーポイントラインはまさにオフェンスを有利にし、バスケットボールが華やかさと力強さを兼ね備え完成されたスポーツへと進化をもたらしましたルールと言えるのではないでしょうか。
ディフェンスは危険なペイントエリアを重点的に守れば良いわけではなくなりました。
ディフェンスが危険なペイントエリアを支配するためにはスリーポイントラインも同時に守る必要が生まれ
一人ではなく、チーム全員で移動式の壁となり固まって防御壁を作り、守ることが必要
となったのです。
現日本代表HCフリオ・ラマスさんも同様の発言をしています。
今は「中に入れさせない」というディフェンスのスタイルを確立しているチームが多くなっています。FIBA(国際バスケットボール連盟)はNBAとルールが少し違うので、ペネトレーション(編注:ゴール付近への侵入、切り込み)に対して、チームでまとまってディフェンスするスタイルが確立されています。
(2017年11月の記事)
引用元:https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201711150009-spnavi
このようなディフェンスで代表されるのがパックラインディフェンスになります。(これについてはここでは書ききれないのでまたの機会に)
ペイントエリア近辺に集まる動きを私は
「守備の集中」の原則
と呼んでいます。
守備の集中を詳しく説明すると、このようになります。
現代のバスケットボールは、この守備の集中が顕著に出ており、これありきで戦術が組み立てられていることが推察されます。
マンツーマンディフェンスとゾーンディフェンス
では、ここから主なディフェンス方法の説明に入ります。
一般的には、ディフェンス時に用いられる方法は2つあります。
1つは、マンツーマンディフェンス。もう1つは、ゾーンディフェンスです。(現在、日本では中学生以下のカテゴリーにおいてゾーン禁止によるマンツーマンディフェンスの徹底を行なっています。)
これらの違いは一体なんなんのでしょうか?
私の見解として、マンツーマンとゾーンをそれぞれこのように定義しています。
マンツーマン…人に基準点を置き、コントロールするための方法
ゾーン…スペースに基準点を置き、コントロールするための方法
このようにこの両者のディフェンス方法は主となるコントロールの対象のみ変更しただけであり、その本質は両者ともに最初にあげた原則と変わりません。
そうなのです。
本質が一緒ということは、実はマンツーマンにもゾーン的要素が存在し、ゾーンにもマンツーマン的要素は存在するのです。
(じゃあ、ゾーン禁止なんかいらないんじゃないかという議論になるかもしれませんが、そのようなつもりで論じているわけではありません。それについてもまた別の機会で触れたいと思います。)
ディフェンスの指導の奥深さ
今までの話を前提にして、様々なチームのパフォーマンスを分析すると非常に興味深い考察を多く得られると私は感じています。
また、それらを原則としてどう落とし込むかといった指導での表現の仕方を考えて、実践してみることも非常に奥深く、楽しいものだと思います。
是非、このブログを通してそのようなものについての様々な有意義な議論ができると嬉しいです。
皆様のお役に立てますように。
ご一読ありがとうございました。
文:後藤祥太
編集・校閲:赤津誠一郎
編集後記
バスケスクールとなるとオフェンスに目が行きがちですが、ディフェンス指導も最新を知り、目前の子供達に落とし込むスキーム作りが大切になります。
アメリカや竹原さんから学ぶディフェンスは、我々が学んだ古き良きディフェンスとら少し違った指導がされています。
足の使い方、曲げ方、体の角度、手の使い方。
実践学園森圭司コーチは
「足だけではなく手」
の大切さや
「プレス時の駆け引き」
についても熱心に指導されています。
オフェンス戦術もディフェンス戦術も、相手あっての事ですから、コーチやチームは引き出しを増やし、相手の戦術に対応する事も必要ですし、
自チームの強みを磨いた戦術を持つ事も大切ですね。
これをやっておけば勝てる
ディフェンスだけ強化すれば勝てる
個人技を磨けば勝てる
初心者レベルでは通用するかもしれませんが、
上に行けば行くほど通用しなくなります。
もはやそんな時代ではありませんので、
複雑化するバスケットボール戦術の海に皆様と共に潜っていけたらとても嬉しいです。
赤津
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